お知らせ
【カテゴリー】ブログ

真尾のライフケア高砂の大水害から数えて11年目となる7月21日。第11回目の慰霊祭が、場所を真尾から上右田に移し執り行われました。

1

新型コロナウイルス下で世間が外出を自粛している中、開催するべきか否かで悩みましたが、ライフケア高砂の掲げる「報恩」の根底ともなった大切な一件なので、参加者全員がマスク着用による感染対策をしたうえで行う事となりました。
理事長による追悼文が読まれた後、当時からの利用者様・職員が慰霊碑に向かって黙祷を捧げました。

2

※追悼文読み上げの時のみマスクを外しています。

34

当時から居られる利用者様・職員も現在では殆ど残ってはいないものの、当時を知る職員が上右田からの職員に当時の体験や教訓を伝えていく事で、職員全員が常に心に留め、報恩事業と業務に邁進していけるよう努めていきます。
筆者も当時災害にあった職員の一人なので、この時の体験と教訓、心構え等をできる限り伝えていく所存です。

5

亡くなられた入居者様のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。

【以下 理事長追悼文】

早いもので、平成21年の被災より11年の歳月が経ちました。

この11年、毎年のように甚大な災害が各地で頻発し続けております。
今回も球磨川が氾濫し、同じ「特別養護老人ホーム千寿園さん」が被災されました。
私は、千寿園さんが被災されたその日の夜に夜勤者に電話をし、社内一斉メールで、
千寿園さんに行く職員ボランティアを募りました。

しかし、今は、県外からボランティアは、コロナウイルス感染拡大により、受け入れてもらえる事が出来ず
毎日、千寿園さんの映像をテレビで観る度、直ぐにでも駆けつけ、泥にまみれたベットや車椅子を片付け、
被災された方が、今不安に思われている事や、これから復興までのお話について、体験者として少しでもお役に立ちたい
そんな思いで、今回被災された多くの方々に、11年前の自分を重ね、やるせない思いの毎日を過ごしております。

今回の球磨川の被災について、マスコミの電話取材で、千寿園さんや僻地に建てられた老人ホームの立地条件についてどう思うか、行政はどうしたらよいのか?と言う質問をされました。

今回の、千曲川流域に建っている老人ホーム。
8年前に被災された萩の特別養護老人ホーム阿北苑さんも川の側に建っています。

11年前のライフケア高砂の被災の折にも、土砂災害警戒区域に施設を建てた?
上田南川と言う川の傍に老人ホームを建てた?
火災マニュアルではなく、防災マニュアルはあったのか?
などの施設側の過失を探るような質問が多くありました。

この十数年、被災したのは、老人ホームだけではありません
その何百倍、いや何千倍以上の数の民間のお宅や、会社、公共施設が被災しています。
けして老人ホームだけが、被災しやすいような僻地の山や川べりを選んで建てているのではありません。

地震を除き、未曾有の豪雨も、未曾有の大型台風も全て、被災は、地球の温暖化であり、気候変動の影響です。
これからも、豪雨も台風もさらに大型化し、頻発していくと言われています。
地球上のどこでも洪水に見舞われ、干ばつにあえぐ可能性があります。
被災は、老人ホームのせいでも、行政のせいでもありません
環境破壊による人類全体の代償です。

被災後、ライフケアは、多くの方のお力添え、 御恩を頂き復興する事ができました。

被災して、それまであたりまえと思って、有難いとも感じる事がなかった事がとても多くあった事を感じる事が出来ました。
あたりまえと思ってしまうと、幸せと感じる事はできませんが。
有難いと感じられる事が、出来れば自分の今の幸せを自覚できます。

今、私達の文明的な生活は、感謝の心を忘れてしまい、幸せを感じる事のない大量消費の生活になっていると思います。

水道をひねるだけで、そのまま飲める綺麗な水が出る国にも係わらず、わざわざペットボトルの水をトラックで運んで来て、自動販売機で冷やして飲む
プラスチックボトルも運んできたトラックの燃料も全て、石油です。
そしてペットボトルのゴミを燃やして、また二酸化炭素を出す。

無数のトラックの運転手さんはアイドリングのまま夜を過ごし、
家では一年中エアコンをつけて、我慢をする事もなく、夜風の心地良さを感じることなく冷やしすぎる、温めすぎる
近年の異常気象、地球温暖化は、そういう人類の快適性を求めてきたエゴの結果です。

私は、ライフケア高砂の理事長として、社是「報恩」を自らの糧とし、
職員に、「恵まれた日常生活が過ごせること自体が如何に有難い事か」という感謝の気持ちを これから先も災害ボランティアや僻地医療貢献を通じて、職員に伝えていきたいと思っています。

そして、職員一人一人自らが、今日まで生かして来られた無数の恩を感じ、
感謝の気持ちで、人間社会に対し、地球環境に対して貢献していける。
幸せの震源となるような社会福祉法人づくりを目指していきたいと思っております。

どうか11年前に被災されて尊い命を犠牲にされた皆様、
天国から私達ライフケア高砂職員の報恩事業の行く末をお見守り下さい。

令和2年7月21日
社会福祉法人ライフケア高砂
理事長 上田巌

月別一覧